こんにちは藤沢市羽鳥の調剤薬局、女性の漢方相談、漢方茶のまま薬局です^^
ご好評の中医薬膳師の薬剤師 藤本きよみ先生の漢方コラムを連載しておりましたが、
今回は漢方ではありませんが藤本先生から「乳幼児の鉄分不足」についてのコラムをお届けします♪
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「9か月くらいで鉄が不足してくるって言われたけれどどうしたらいい?」
昨年とあるママさんから聞かれました。
【授乳・離乳の支援ガイド】
「生後9か月以降は鉄が不足しやすいので」と記載されていた文章が
2019年改訂版の「授乳・離乳の支援ガイド」では
「母乳育児の場合、生後6ヶ月の時点でヘモグロビン濃度が低く鉄欠乏を生じやすいとの報告がある」という文章に変更になりました。
ちなみに「授乳・離乳の支援ガイド」は妊産婦や子どもに関わる保健医療従事者が基本的事項を共有し、支援を進めていくことができるよう、保健医療従事者向けに2007年3月に作成され、自治体や医療機関等で活用されてきました。
12年が経過し、新しい「授乳・離乳の支援ガイド」が2019年に改訂されました。
【鉄欠乏ケア】
乳幼児期の鉄欠乏は貧血の他、体重増加不良、身長の伸びの障害、脳の発達・機能にも影響を与える可能性があります。
実は、母乳中に含まれる鉄の量はほとんどありません。
出生時の貯蔵鉄は5か月頃までは十分ありますが、その後母乳のみでは補えないため母乳に加えて、食事から鉄を補う必要があります。
日本人の食事摂取基準(2020年版)による鉄の推奨量は
6~11か月の男児は5.0㎎/日、女児は4.5㎎/日
育児用粉ミルクは母乳では足りなくなりがちな栄養(鉄、ビタミン類など)を補える工夫がされているため、料理食材として利用するのもひとつです。
(母乳を減らして育児用粉ミルクにする必要はなく、あくまでも母乳に追加して食べさせる食材のひとつとして利用するということです)
フォローアップミルクも料理食材として利用し鉄を補うことができますが残念ながら育児用粉ミルクと違い亜鉛や銅が含まれていないので育児用粉ミルクの方がおすすめです。
そして食材から鉄を補う上で知っておきたいこと。
実は鉄はあまり吸収率がよくありません。
動物性の食品(レバー、赤身の肉・魚など)に多く含まれるヘム鉄は約20%前後、
豆、卵黄、穀物、ほうれん草、小松菜などに多く含まれる非ヘム鉄は約5%前後です。
非ヘム鉄はビタミンCや食肉たんぱくと一緒に食べると吸収率があがるので工夫できます。
離乳食の進め方の中でヘム鉄を含む赤身の肉・魚などは後回しになっており、鉄を補うには
どう考えればよいのかと探り「補完食」に出会いました。
【WHO(世界保健機関)が推奨する補完食】
補完食とは母乳だけでは足りない栄養を補う赤ちゃんの食事です。
補完食は、初期、中期、後期、完了期における食材の制限はなく、ミルクや母乳の量を減らす必要もなく離乳食より自由です。
生後6ヶ月を過ぎた頃から徐々に母乳やミルクだけでは成長するのに十分な栄養を得ることができなくなってきます。その差を補うのが補完食。
鉄はその差が断トツに大きいです。
その他、差が大きくなる栄養素に亜鉛、ビタミンA、カルシウム、ビタミンDなどが
あげられます。エネルギーも差が大きいので補うために補完食は五倍粥(全粥)
からはじめます。
離乳食とは定義が違いますが、どちらも赤ちゃんが元気に成長し家族の食卓で同じものを美味しく食べることに繋がる食事。
食事と向き合うということはやって損をすることはないと思います。
知っているか知らないか、これだけで選ぶ食材も変わってきます。
食事は一生かけてできるセルフケアであり、セルフケアが出来て必要なときには適切に医療を使えることが大切だなと日々思っています。
「鉄、どうしたらいい?」と聞いてくれたママと元気に成長している赤ちゃんが家族と一緒に同じものを美味しく食べる日はもうそこまで来ているのかなとワクワクしています。
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補完食、
新しいワードで気になりますね!
是非気になった方は一度調べてみてくださいね^^まま薬局は子育て中のママさん達を応援しています。